ウォーターと教えた


先日の話しだ、

「肩がこるというのが分からない」

肩こりという概念を知らないムキムキに浅黒い純朴男が知人にいるのだが、
常にその場にいる残り3人は慢性的な肩こりピーポーなのでとりあえず揉ませて、肩こりとはなんたるかを教えることにした
そのずっと前に肩こり知らず君の肩をみんなで揉んだのだが、ふわふわというかやわらかくて〝良い筋肉〟と呼ぶに相応しかった。甲子園へ行け。
そして慢性肩こりヒューマンズ、書店員A、介護職B、ほとんど無職のわたC、というメンバーを順々に揉んでいく

「あー...固い...こってる...?...これが...凝り...」

書店員Aの薄っぺらい肩がでかくて分厚い手で揉まれる様は拷問か?と思われたが、
その薄っぺら肩こり野郎の顔は恍惚に満ちていたのでわたしも早く揉んでほしくなる。ヨダレも少しは出てただろう。

「あー...なるほど...ここが...え?!こんなとこ押していいのか?!じゃあ...」

書店員Aに促されるままに耳の後ろのくぼみや首の揉み方などを指南されるNO肩こりboy
そう。こいつはリンパゴリゴリ系が好きなリンパ虐め野郎だよ!!!リンパの気持ちになったことあんのか!!!突然ぐにぐに押されてよお〜~
かわいそうなリンパ...老廃物達...あれらはオシッコとなり排出されるんだろう...向かう先は下水だ...

介護職Bは肩こりに悩まされているのにマッサージに弱いという悲しい運命を背負っていた
触られるとくすぐったいって、マッサージできないじゃん
NO肩こりboyはこの人の旦那なのでわりと雑にわしわし揉んでいた(痛い〜とくすぐったい〜しかしゃべらないdollと化していた)
それを見てわたしは思う、あれだと指先の力が集中してしまい、せっかく分厚い手のひらでのマッサージが楽しめないのでは...

わたしは最後に揉まれたかった。なぜなら今までの揉み方でコリを分析しわたしの番でマッサージのなんたるかをある程度覚えてから揉んでほしいという目論見があったのだ

「か......った!!!」

肩を触って固いとは。身も蓋もないダジャレである

「全然違う!すごい固い!え...こ、ここもこんなに固くなるの?!」

肩こりヒューマンからすれば最高の褒め言葉、それは「固い」だ。「こんなに固い肩触ったの初めてだよ〜」とかいう事故ダジャレにも寛容になるほど

あ〜...手がでかくてぶ厚いと点じゃなく面で揉まれるから最高〜~しかも手のひらあつぅい〜
良い筋肉がわたしのダメな筋肉をほぐす...これはもはや金八先生...!

この圧倒的な固さを前にNO肩こりboyも怯んだのか、手のひら全体を使った優しくて素晴らしい揉みだ。お金払いたい。
わたしはとりあえず分厚い手の面で優しくひたすらに上半身をコネ回してほしい。あと頭をめちゃくちゃにしてほしい。わたしの頭皮、岩だから、岩をマシマロにするくらいにしてほしい。

一通りコリをほぐされて元気いっぱいになったヒューマンズ達は何やらアプリ等でバカ笑いしていたが、NO肩こりboyはいつの間にか自室ですやすやオネムでした

わたし「やつは明日何時起きなのだ?」
介護職B「わかんない。でも多分7:16とかそのくらいの電車で行くと思う」

介護職Bは歯を磨きながら当たり前のように答える
彼女も翌日は仕事だ...

あと3日は休みの書店員Aとほとんど無職のわたC...

7時間後には身支度をし電車に乗るboy...

わたし達は...何をやっていたんだろう...


おしまい